民事保全規則

第一章 総則(第一条-第六条)
第二章 保全命令に関する手続
 第一節 総則(第七条-第十二条)
 第二節 保全命令
  第一款 通則(第十三条-第十七条)
  第二款 仮差押命令(第十八条-第二十条)
  第三款 仮処分命令(第二十一条-第二十三条)
 第三節 保全異議(第二十四条-第二十七条)
 第四節 保全取消し(第二十八条・第二十九条)
 第五節 保全抗告(第三十条)
第三章 保全執行に関する手続
 第一節 総則(第三十一条)
 第二節 仮差押えの執行(第三十二条-第四十二条の二)
(平二〇最裁規一五・平成二〇最裁規二〇・一部改正)
 第三節 仮処分の執行(第四十三条-第四十五条の二)
(平二〇最裁規一五・平成二〇最裁規二〇・一部改正)
第四章 仮処分の効力(第四十六案-第四十八条)
附則

第一章 総則

(申立ての方式)

第一条 次に掲げる申立ては、書面でしなければならない。
一 保全命令の申立て
二 保全命令の申立てを却下する裁判に対する即時抗告
三 保全異議の申立て
四 保全取消しの申立て
五 保全抗告
六 保全執行の申立て

(法第四条第一項の最高裁判所規則で定める担保提供の方法)

第二条 民事保全法(平成元年法律第九十一号。以下「法」という。)第四条第一項の規定による担保は、担保を立てるべきことを命じた裁判所の許可を得て、これを命じられた者が銀行、保険会社、株式会社商工組合中央金庫、農林中央金庫、全国を地区とする信用金庫連合会、信用金庫又は労働金庫(以下この条において「銀行等」という。)との間において次に掲げる要件を満たす支払保証委託契約を締結する方法によって立てることができる。
一 銀行等は、担保を立てるべきことを命じられた者のために、裁判所が定めた金額を限度として、担保に係る損害賠償請求権についての債務名義又はその損害賠償請求権の存在を確認する確定判決若しくはこれと同一の効力を有するものに表示された額の金銭を担保権利者に支払うものであること。
二 担保取消しの決定が確定した時又は第十七条第一項若しくは第四項の許可がされた時に契約の効力が消滅するものであること。
三 契約の変更又は解除をすることができないものであること。
四 担保権利者の申出があったときは、銀行等は、契約が締結されたことを証する文書を担保権利者に交付するものであること。
(平八最裁規六・平二〇最裁規八・一部改正)

(口頭弁論又は審尋の期日の呼出し)

第三条 民事保全の手続における口頭弁論又は審尋の期日の呼出しは、相当と認める方法によることができる。
2 前項の呼出しがされたときは、裁判所書記官は、その旨及び呼出しの方法を記録上明らかにしなければならない。

(申立ての取下げの方式等)

第四条 第一条各号に掲げる申立ての取下げは、口頭弁論又は審尋の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
2 第一条第一号又は第二号に掲げる申立てが取り下げられたときは、裁判所書記官は、口頭弁論若しくは審尋の期日の呼出し又は保全命令の送達を受けた債務者に対し、その旨を通知しなければならない。
3 第一条第三号から第五号までに掲げる申立てが取り下げられたときは、裁判所書記官は、当該申立書の写しの送付を受けた相手方に対し、その旨を通知しなければならない。
4 保全執行裁判所に対する保全執行の申立てが取り下げられたときは、裁判所書記官は、保全執行を開始する決定の送達を受けた債務者に対し、その旨を通知しなければならない。

(催告及び通知)

第五条 民事訴訟規則(平成八年最高裁判所規則第五号)第四条の規定は、民事保全の手続における催告及び通知について準用する。この場合において、同条第二項、第五項及び第六項中「裁判所書記官」とあるのは「裁判所書記官又は執行官」と読み替えるものとする。
(平八最裁規六・全改)

(民事訴訟規則の準用)

第六条 特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、民事訴訟規則の規定を準用する。
(平八最裁規六・一部改正)

第二章 保全命令に関する手続

第一節 総則

(口頭弁論調書の記載の省略等)

第七条 保全命令に関する手続における口頭弁論の調書については、裁判長の許可を得て、証人、鑑定人若しくは当事者本人の陳述又は検証の結果の記載を省略することができる。
2 前項の規定により調書の記載を省略する場合において、裁判長の命令又は当事者の申出があるときは、裁判所書記官は、当事者の裁判上の利用に供するため、録音装置を使用して前項の陳述を録取しなければならない。この場合において、当事者の申出があるときは、裁判所書記官は、録音体の複製を許さなければならない。

(審尋調書の作成等)

第八条 第一条第一号又は第二号に掲げる申立てについての手続における審尋の調書は、作成することを要しない。ただし、裁判長が作成を命じたときは、この限りでない。
2 第一条第三号から第五号までに掲げる申立てについての手続における審尋の調書については、裁判長の許可を得て、参考人又は当事者本人の陳述の記載を省略することができる。
3 前条第二項の規定は、前項の規定により調書の記載を省略する場合について準用する。

(決定書の作成)

第九条 第一条第一号から第五号までに掲げる申立てについての決定は、決定書を作成してしなければならない。
2 前項の決定書には、次に掲げる事項を記載し、裁判官が記名押印しなければならない。
一 事件の表示
二 当事者の氏名又は名称及び代理人の氏名
三 保全命令を発する場合にあっては、当事者の住所
四 担保額及び担保提供方法
五 主文
六 理由又は理由の要旨
七 決定の年月日
八 裁判所の表示
3 第一項の決定の理由においては、主要な争点及びこれに対する判断を示さなければならない。
4 第一項の決定の理由においては、口頭弁論又は債務者の審尋を経ないで保全命令を発する場合を除き、保全命令の申立書その他の当事者の主張を記載した書面(以下「主張書面」という。)を引用することができる。

(調書決定)

第十条 第一条第一号から第五号までに掲げる申立てについての決定は、前条の規定にかかわらず、口頭弁論又は審尋の期日において同条第二項第四号から第六号までに掲げる事項を言い渡し、かつ、これを調書に記載させてすることができる。
2 前項の場合において、保全命令を発するときは、同項の調書に当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名を記載させなければならない。
3 前条第三項及び第四項の規定は、第一項の場合について準用する。
第十一条 削除

(平八最裁規六)

(担保変換決定の通知)

第十二条 保全命令に関する手続において、担保を他の担保に変換する旨の決定があったときは、裁判所書記官は、その旨を担保権利者に通知しなければならない。

第二節 保全命令

第一款 通則

(申立書の記載事項)

第十三条 保全命令の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者の氏名又は名称及び住所(債務者を特定することができない場合にあっては、その旨)並びに代理人の氏名及び住所
二 申立ての趣旨及び理由
2 保全命令の申立ての理由においては、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに証拠を記載しなければならない。
(平一五最裁規二二・一部改正)

(主張書面の提出の方法等)

第十四条 保全命令の申立てについての手続において、口頭弁論の期日又は債務者を呼び出す審尋の期日が指定された後に主張書面の提出をするには、これと同時に、その写し一通(相手方の数が二以上であるときは、その数の通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判所の定める期間内に提出すれば足りる。
2 保全命令の申立てについての手続において書証の申出をするには、これと同時に、口頭弁論の期日又は債務者を呼び出す審尋の期日が指定される前にあってはその写し一通を、これらの期日が指定された後にあってはその写し二通(相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 口頭弁論の期日又は債務者を呼び出す審尋の期日が指定された後に前二項の写しが提出されたときは、裁判所書記官は、当該写し(前項の写しについては、そのうちの一通を除く。)を相手方に送付しなければならない。

(主張書面等の直送)

第十五条 債権者は、保全命令の申立てについての手続において、口頭弁論の期日の呼出し又は債務者を呼び出す審尋の期日の通知を受けたときは、遅滞なく、既に提出した主張書面及び書証について直送をしなければならない。
(平八最裁規六・一部改正)

(保全命令の申立ての却下決定等の告知)

第十六条 保全命令の申立てを却下する決定及びこれに対する即時抗告を却下する決定は、債務者に対し口頭弁論又は審尋の期日の呼出しがされた場合を除き、債務者に告知することを要しない。
2 保全命令を発するために担保を立てさせる決定は、債務者に告知することを要しない。

(担保の取戻し)

第十七条 保全執行としてする登記若しくは登録又は第三債務者に対する保全命令の送達ができなかった場合その他保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合において、法第四十三条第二項の期間が経過し、又は保全命令の申立てが取り下げられたときは、債権者は、保全命令を発した裁判所の許可を得て、法第十四条第一項の規定により立てた担保を取り戻すことができる。
2 前項の許可を求める申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 保全命令事件の表示
二 当事者の氏名又は名称及び住所(債務者を特定することができない場合にあっては、その旨)並びに代理人の氏名及び住所
三 申立ての趣旨及び理由
四 保全命令の正本が担保権利者である債務者以外の債務者に対する保全執行のため執行機関に提出されているときは、その旨
3 前項に規定する申立書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
一 保全命令の正本。ただし、前項第四号に規定する場合における当該正本を除く。
二 前項第四号に規定する場合にあっては、その旨を証する書面
三 事件の記録上明らかである場合を除き、保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかであることを証する書面
4 債務者は、第一項の担保に関する債権者の権利を承継したときは、保全命令を発した裁判所の許可を得て、その担保を取り戻すことができる。
5 前項の許可を求める申立ては、第二項第一号から第三号までに掲げる事項を記載した書面でしなければならない。この書面には、債務者が第一項の担保に関する債権者の権利を承継したことを証する書面を添付しなければならない。
(平一五最裁規二二・一部改正)

第二款 仮差押命令

(申立書の記載事項の特則)

第十八条 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百四十三条に規定する債権(以下「債権」という。)に対する仮差押命令の申立書には、第三債務者の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所を記載しなければならない。
2 民事執行規則(昭和五十四年最高裁判所規則第五号)第百五十条の二に規定する振替社債等(以下「振替社債等」という。)に関する仮差押命令の申立書には、振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第五項に規定する振替機関等であって債務者が口座の開設を受けているものをいう。以下同じ。)の名称及び住所を記載しなければならない。
3 民事執行規則第百五十条の九に規定する電子記録債権(以下「電子記録債権」という。)に関する仮差押命令の申立書には、第三債務者(当該電子記録債権の債務者をいう。第四十二条の二において同じ。)の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所並びに当該電子記録債権の電子記録(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録をいう。以下同じ。)をしている電子債権記録機関(同条第二項に規定する電子債権記録機関をいう。以下同じ。)の名称及び住所を記載しなければならない。
(平一四最裁規一四・平二〇最裁規一五・平二〇最裁規二〇・一部改正)

(申立ての趣旨の記載方法)

第十九条 仮差押命令の申立ての趣旨の記載は、仮に差し押さえるべき物を特定してしなければならない。ただし、仮に差し押さえるべき物が民事執行法第百二十二条第一項に規定する動産(以下「動産」という。)であるときは、その旨を記載すれば足りる。
2 次の各号に掲げる仮差押命令の申立書における仮に差し押さえるべき物の記載は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一 債権に対する仮差押命令 債権の種類及び額その他の債権を特定するに足りる事項
二 民事執行規則第百四十六条第一項に規定する電話加入権(以下「電話加入権」という。)に対する仮差押命令 東日本電信電話株式会社又は西日本電信電話株式会社において電話に関する現業事務を取り扱う事務所で当該電話加入権に係る契約に関する事務を取り扱うもの、電話番号、電話加入権を有する者の氏名又は名称及び電話の設置場所
(平一一最裁規四・一部改正)

(申立書の添付書面)

第二十条 次の各号に掲げる仮差押命令の申立書には、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
一 民事執行法第四十三条第一項に規定する不動産(以下「不動産」という。)に対する仮差押命令 次に掲げる書面
イ 登記がされた不動産については、登記事項証明書及び登記記録の表題部に債務者以外の者が所有者として記録されている場合にあっては、債務者の所有に属することを証する書面
ロ 登記がされていない土地又は建物については,次に掲げる書面
(1) 債務者の所有に属することを証する書面
(2) 当該土地についての不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第二条第二号に規定する土地所在図及び同条第三号に規定する地積測量図
(3) 当該建物についての不動産登記令第二条第五号に規定する建物図面及び同条第六号に規定する各階平面図並びに同令別表の三十二の項添付情報欄ハ又はニに掲げる情報を記載した書面
ハ 不動産の価額を証する書面
二 民事執行法第百十二条に規定する船舶(以下「船舶」という。)に対する仮差押命令 次に掲げる書面
イ 登記がされた日本船舶については、登記事項証明書
ロ 登記がされていない日本船舶については、船舶登記令(平成十七年政令第十一号)第十三条第一項四号イからホまでに掲げる情報を記載した書面,同令別表一の七の項添付情報欄ロ及びハに掲げる情報を記載した書面及びその船舶が債務者の所有に属することを証する書面
ハ 日本船舶以外の船舶については、その船舶が民事執行法第百十二条に規定する船舶であることを証する書面及びその船舶が債務者の所有に属することを証する書面
ニ 船舶の価額を証する書面
三 民事執行規則第八十四条に規定する航空機(以下「航空機」という。)に対する仮差押命令 航空機登録原簿の謄本及び航空機の価額を証する書面
四 民事執行規則第八十六条に規定する自動車(以下「自動車」という。)に対する仮差押命令 自動車登録ファイルに記録されている事項を証明した書面及び自動車の価額を証する書面
五 民事執行規則第九十八条に規定する建設機械(以下「建設機械」という。)に対する仮差押命令 登記事項証明書及び建設機械の価額を証する書面
六 民事執行規則第九十八条の二に規定する小型船舶(以下「小型船舶」という。)に対する仮差押命令 小型船舶の登録等に関する法律(平成十三年法律第百二号)第十四条に規定する原簿の謄本又は原簿のうち磁気ディスクをもって調製された部分に記録されている事項を証明した書面及び小型船舶の価額を証する書面
七 電話加入権に対する仮差押命令 東日本電信電話株式会社又は西日本電信電話株式会社の電話加入権に関する帳簿に記載されている事項を証明した書面
八 民事執行法第百六十七条第一項に規定するその他の財産権(以下「その他の財産権」という。)で権利の移転について登記又は登録を要するものに対する仮差押命令 登記事項証明書又は登録原簿に記載されている事項を証明した書面
(平一一最裁規四・平一七最裁規六・一部改正)

第三款 仮処分命令

(仮処分解放金の還付請求権者の記載)

第二十一条 法第二十五条第一項の金銭の額を定める場合には、仮処分命令にその金銭の還付を請求することができる者の氏名又は名称及び住所を掲げなければならない。

(保全すべき登記請求権等の記載)

第二十二条 法第五十三条第二項の仮処分に係る仮処分命令の決定書又はこれに代わる調書には、保全すべき登記請求権及びこれを保全するための仮処分命令である旨を記載しなければならない。
2 前項の規定は、法第五十四条の仮処分に係る仮処分命令の決定書又はこれに代わる調書について準用する。
3 法第五十五条第一項の仮処分命令の決定書又はこれに代わる調書には、同項の請求権を保全するための仮処分命令である旨を記載しなければならない。

(仮差押命令の規定の準用)

第二十三条 前款(第十九条第一項を除く。)の規定は、仮処分命令の申立てについて準用する。

第三節 保全異議

(申立書の記載事項)

第二十四条 保全異議の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 保全命令事件の表示
二 債務者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
三 債権者の氏名又は名称及び住所
四 申立ての趣旨及び理由
2 保全異議の申立ての趣旨の記載は、保全命令の一部の取消し又は変更を求める場合にあっては、その範囲を明らかにしてしなければならない。
3 保全異議の申立ての理由においては、保全命令の取消し又は変更を求める事由を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに証拠を記載しなければならない。

(主張書面の提出の方法等)

第二十五条 保全異議の申立てについての手続において主張書面の提出をするには、これと同時に、その写し一通(相手方の数が二以上であるときは、その数の通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判所の定める期間内に提出すれば足りる。
2 保全異議の申立てについての手続において書証の申出をするには、これと同時に、その写し二通(相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 裁判所書記官は、前二項の写し(前項の写しについては、そのうちの一通を除く。)を相手方に送付しなければならない。

(主張書面等の直送)

第二十六条 債権者は、前条第三項の規定により保全異議の申立書の写しの送付を受けたときは、遅滞なく、保全命令の申立てについての手続において提出した主張書面及び書証について直送をしなければならない。ただし、これらの書面につき保全命令の申立てについての手続において直送又は送付がされているときは、この限りでない。
(平八最裁規六・一部改正)

(決定書等への引用)

第二十七条 保全異議の申立てについての決定書における第九条第二項第二号又は第六号に掲げる事項の記載は、保全命令の決定書又はこれに代わる調書を引用してすることができる。
2 前項の規定は、保全異議の申立てについて第十条第一項の規定により決定をする場合について準用する。

第四節 保全取消し

(起訴命令の申立ての方式)

第二十八条 法第三十七条第一項の申立ては、第二十四条第一項に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

(保全異議の規定の準用)

第二十九条 前節(第二十六条を除く。)の規定は、保全取消しの申立てについての手続について準用する。

第五節 保全抗告

(保全異議の規定の準用)

第三十条 第三節(第二十六条を除く。)の規定は、保全抗告についての手続について準用する。

第三章 保全執行に関する手続

第一節 総則

(民事執行規則の準用)

第三十一条 民事執行規則第一章(第一条、第三条、第四条、第十条、第十四条及び第十五条の二を除く。)及び同規則第二章第一節(第十六条第二項、第二十条及び第二十二条の三を除く。)の規定は、保全執行について準用する。ただし、同規則第二十一条の規定は、登記若しくは登録をする方法又は第三債務者若しくはこれに準ずる者に保全命令の送達をする方法による保全執行については、この限りでない。
(平八最裁規六・一部改正)

第二節 仮差押えの執行

(強制管理の方法による不動産に対する仮差押えの執行)

第三十二条 民事執行規則第二十三条第一号、第二号及び第五号、同規則第二十三条の二(第四号を除く。)、同規則第六十三条、同規則第六十四条の二から第六十八条まで、同規則第七十一条並びに同規則第七十三条において準用する同規則第二十五条の規定は、強制管理の方法による不動産に対する仮差押えの執行について準用する。この場合において、同規則第七十一条第一項中「法第百八条」とあるのは、「民事保全法第四十七条第四項」と読み替えるものとする。
2 強制管理の方法による不動産に対する仮差押えの執行の申立書には、仮差押命令の申立てについての手続においてその執行の申立てをする旨を明示したことを証する書面を添付しなければならない。
(平一〇最裁規五・平一五最裁規二二・一部改正)

(船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による船舶に対する仮差押えの執行)

第三十三条 前条第二項並びに民事執行規則第七十四条(各号を除く。)、同規則第七十五条、同規則第八十条及び同規則第八十一条の規定は船舶国籍証書等(法第四十八条第一項に規定する船舶国籍証書等をいう。)の取上げを命ずる方法による船舶に対する仮差押えの執行について、同規則第十三条第一項及び第二項の規定は執行官が法第四十八条第一項の規定による決定を執行した場合について、同規則第六十五条第二項及び第三項並びに同規則第六十六条の規定は法第四十八条第三項において準用する民事執行法第百十六条第一項の保管人について準用する。

(航空機に対する仮差押えの執行)

第三十四条 航空機に対する仮差押えの執行については、法第四十八条及び前条の規定を準用する。この場合において、これらの規定並びに前条において準用する民事執行規則第七十五条及び同規則第八十一条中「船舶国籍証書等」とあるのは「航空機登録証明書その他の航空機の航行のために必要な書面」と、前条において準用する同規則第七十四条中「並びに船長の氏名及び現在する場所を記載し」とあるのは「を記載し」と、前条において準用する同規則第七十五条中「、船長及び船籍港を管轄する地方運輸局、海運監理部又は地方運輸局若しくは海運監理部の海運支局の長」とあるのは「及び国土交通大臣」と読み替えるものとする。

(自動車に対する仮差押えの執行の方法)

第三十五条 自動車に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登録をする方法又は執行官に対し自動車を取り上げて保管すべき旨を命ずる方法により行う。これらの方法は、併用することができる。

(自動車に対する仮差押えの執行の申立書の記載事項)

第三十六条 自動車の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行の申立書には、第三十一条において準用する民事執行規則第二十一条各号に掲げる事項のほか、自動車の所在する場所を記載しなければならない。

(仮差押えの執行がされた自動車の売却)

第三十七条 自動車の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行がされた自動車について、著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、仮差押債権者、債務者及び抵当権者に対し、その旨を通知しなければならない。
2 前項に規定する場合において、仮差押債権者又は債務者の申立てがあるときは、保全執行裁判所は、民事執行規則の規定による自動車執行の手続により自動車を売却する旨を定めることができる。ただし、その自動車に抵当権が設定されているときは、この限りでない。
3 前項の規定による決定がされたときは、裁判所書記官は、同項の申立てをしない仮差押債権者及び債務者に対し、その旨を通知しなければならない。
4 第二項の規定による決定に基づいて自動車が売却され、その代金が保全執行裁判所に納付されたときは、裁判所書記官は、売却代金を供託しなければならない。

(自動車に対する仮差押えの執行についての不動産に対する仮差押えの執行等の規定の準用)

第三十八条 法第四十七条第三項及び法第四十八条第二項並びに民事執行法第四十六条第二項、同法第四十七条第一項、同法第四十八条第二項、同法第五十三条及び同法第五十四条の規定は仮差押えの登録をする方法による自動車に対する仮差押えの執行について、法第四十八条第二項、民事執行法第四十五条第三項、同法第四十七条第一項及び同法第五十三条、第三十二条第二項並びに民事執行規則第九十一条、同規則第九十六条の四及び同規則第九十七条において準用する同規則第百九条の規定は自動車の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行について、同規則第十三条第一項及び第二項の規定は執行官が第三十五条の規定による決定を執行した場合について準用する。

(建設機械又は小型船舶に対する仮差押えの執行)

第三十九条 建設機械に対する仮差押えの執行については、第三十五条から前条までの規定を準用する。小型船舶に対する仮差押えの執行についても、同様とする。

(動産に対する仮差押えの執行)

第四十条 動産に対する仮差押えの執行については、民事執行規則第九十九条から第百六条まで、同規則第百七条第一項、同規則第百八条から第百十条まで及び同規則第百二十七条の規定を準用する。

(債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)

第四十一条 仮差押えの執行がされた債権について差押命令又は差押処分の送達を受けた場合においては、法第五十条第五項において準用する民事執行法第百五十六条第三項の規定による届出は、差押命令を発した裁判所(差押処分の送達を受けた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)に対してしなければならない。
2 民事執行規則第百三十五条、同規則第百三十六条第一項及び第三項並びに同規則第百三十八条の規定は債権に対する仮差押えの執行について、同規則第百四十七条の規定は電話加入権に対する仮差押えの執行について、同条第二項の規定はその他の財産権で権利の移転について登記又は登録を要するものに対する仮差押えの執行について準用する。この場合において、同規則第百三十八条第三項中「差押命令、差押処分又は仮差押命令」とあるのは「仮差押命令」と、「差押命令を発した裁判所(差押処分が先に送達された場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「仮差押命令を発した裁判所」と読み替えるものとする。
(平一七最裁規一・一部改正)

(振替社債等に関する仮差押えの執行)

第四十二条 振替社債等に関する仮差押えの執行は、振替社債等に関し、保全執行裁判所が振替機関等に対し振替及び抹消を禁止する命令を発する方法により行う。
2 法第五十条第二項及び第三項、民事執行法第百四十六条、同法第百四十七条及び同法第百四十九条、第四十一条第一項並びに民事執行規則第百三十五条、同規則第百三十六条第一項及び第三項、同規則第百三十八条、同規則第百四十七条第二項、同規則第百五十条の三(第一項を除く。)、同規則第百五十条の四並びに同規則第百五十条の六(第三項後段を除く。)の規定は、振替社債等に関する仮差押えの執行について準用する。この場合において、法第五十条第二項中「前項」とあるのは「民事保全規則第四十二条第一項」と、同条第三項中「第三債務者」とあるのは「発行者」と、「金銭の支払を目的とする債権」とあるのは「民事執行規則第百五十条の五第一項に規定する振替債等又は同項第一号に掲げる振替新株予約権付社債についての社債」と、民事執行法第百四十七条第一項中「差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は」とあるのは「裁判所書記官は」と、同条並びに民事執行規則第百三十五条並びに同規則第百三十六条第一項及び第三項中「第三債務者」とあるのは「振替機関等」と、第四十一条第一項中「法第五十条第五項において準用する民事執行法第百五十六条第三項」とあるのは「第四十二条第二項において準用する民事執行規則第百五十条の六第三項」と、同規則第百三十五条中「法第百四十七条第一項」とあるのは「民事保全規則第四十二条第二項において準用する民事執行法第百四十七条第一項」と、同条第一項第二号中「弁済の意思」とあるのは「振替又は抹消の申請等」と、「弁済する」とあるのは「振替若しくは抹消を行う」と、「弁済しない」とあるのは「振替若しくは抹消を行わない」と、同項第四号中「仮差押え」とあるのは「仮差押え若しくは仮処分」と、「差押命令、差押処分又は仮差押命令」とあるのは「差押命令又は仮差押命令若しくは仮処分命令」と、同規則第百三十八条第一項中「法第百五十六条第三項」とあるのは「民事保全規則第四十二条第二項において準用する第百五十条の六第三項」と、同条第三項中「差押命令、差押処分又は仮差押命令」とあるのは「仮差押命令」と、「差押命令を発した裁判所(差押処分が先に送達された場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「仮差押命令を発した裁判所」と、同規則第百四十七条第二項中「前項」とあるのは「民事保全規則第四十二条第二項において準用する民事執行法第百四十七条第一項」と読み替えるものとする。
(平二〇最裁規二〇・全改)

(電子記録債権に関する仮差押えの執行)

第四十二条の二 電子記録債権に関する仮差押えの執行は、電子記録債権に関し、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止し、及び当該電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関に対し電子記録を禁止する命令を発する方法により行う。
2 法第五十条第二項及び第三項、民事執行法第百四十六条、同法第百四十七条、同法第百四十九条、同法第百五十条、同法第百五十三条並びに同法第百六十四条第五項及び第六項、第四十一条第一項並びに民事執行規則第百三十五条、同規則第百三十六条第一項及び第三項、同規則第百三十八条、同規則第百四十七条第二項、同規則第百五十条の十(第一項を除く。)、同規則第百五十条の十二(第三項後段を除く。)、同規則第百五十条の十五第二項並びに同規則第百五十条の十六の規定は、電子記録債権に関する仮差押えの執行について準用する。この場合において、法第五十条第二項中「前項」とあるのは「民事保全規則第四十二条の二第一項」と、民事執行法第百四十七条第一項中「差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は」とあるのは「裁判所書記官は」と、同条並びに民事執行規則第百三十五条並びに同規則第百三十六条第一項及び第三項中「第三債務者」とあるのは「第三債務者及び電子債権記録機関」と、同法第百六十四条第五項中「第百五十条」とあるのは「民事保全規則第四十二条の二第二項において準用する第百五十条」と、第四十一条第一項中「法第五十条第五項において準用する民事執行法第百五十六条第三項」とあるのは「第四十二条の二第二項において準用する民事執行規則第百五十条の十二第三項」と、同規則第百三十五条中「法第百四十七条第一項」とあるのは「民事保全規則第四十二条の二第二項において準用する民事執行法第百四十七条第一項」と、同条第一項中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(電子債権記録機関にあつては、第二号に掲げる事項を除く。)」と、同項第一号中「その種類及び額(金銭債権以外の債権にあつては、その内容)」とあるのは「その金額、支払期日及び記録番号(電子記録債権法第十六条第一項第七号に規定する記録番号をいう。)その他当該電子記録債権を特定するために必要な事項」と、同項第四号中「仮差押え」とあるのは「仮差押え若しくは仮処分」と、「差押命令、差押処分又は仮差押命令」とあるのは「差押命令又は仮差押命令若しくは仮処分命令」と、同規則第百三十八条第一項中「法第百五十六条第三項」とあるのは「民事保全規則第四十二条の二第二項において準用する第百五十条の十二第三項」と、同条第三項中「差押命令、差押処分又は仮差押命令」とあるのは「仮差押命令」と、「差押命令を発した裁判所(差押処分が先に送達された場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「仮差押命令を発した裁判所」と、同規則第百四十七条第二項中「前項」とあるのは「民事保全規則第四十二条の二第二項において準用する民事執行法第百四十七条第一項」と、同規則第百五十条の十五第二項中「前項において準用する法第百五十三条第一項」とあるのは「民事保全規則第第四十二条の二第二項において準用する民事執行法第百五十三条第一項」と読み替えるものとする。
(平二〇最裁規一五・追加、平二〇最裁規二〇・一部改正)

第三節 仮処分の執行

(法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託の添付書面)

第四十三条 法第五十六条(他の法律において準用する場合を含む。)の規定による嘱託は、嘱託書に仮処分命令又はこれを変更し、若しくは取り消す決定の決定書又はこれに代わる調書の謄本を添付してしなければならない。
)平一〇最裁規七・一部改正)

(占有移転禁止の仮処分命令の執行方法)

第四十四条 執行官は、占有移転禁止の仮処分命令の執行をすることは、はく離しにくい方法により公示書を掲示する方法その他相当の方法により、法第二十五条の二第一項第二号に規定する公示をしなければならない。この場合においては、民事執行規則第二十七条の三第二項の規定を準用する。
2 執行官は、占有移転禁止の仮処分命令の執行により引渡しを受けた係争物を債務者に保管させるときは、債務者に対し、当該係争物の処分及び前項の公示書の損壊に対する法律上の制裁その他の執行官が必要と認める事項を告げなければならない。
(平一五最裁規二二・全改)

(債務者不特定の占有移転禁止の仮処分命令を執行した場合の届出)

第四十四条の二 執行官は、法第二十五条の二第一項の規定による占有移転禁止の仮処分命令を執行したときは、速やかに、同条第二項の規定によりその債務者となった者の氏名又は名称その他の当該者を特定するに足りる事項を、これを発した裁判所に届け出なければならない。
(平一五最裁規二二・追加)

(振替社債等に関する仮処分の執行)

第四十五条 振替社債等に関する仮処分の執行については、振替社債等に関する仮差押えの執行又は強制執行の例による。
(平一四最裁規一四・平二〇最裁規二〇・一部改正)

(電子記録債権に関する仮処分の執行)

第四十五条の二 電子記録債権に関する仮処分の執行については、電子記録債権に関する仮差押えの執行又は強制執行の例による。
(平二〇最裁規一五・追加、平二〇最裁規二〇・一部改正)

第四章 仮処分の効力

(仮処分命令の更正の申立ての方式)

第四十六条 法第六十条第一項(法第六十一条において準用する場合を含む。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 仮処分命令事件の表示
二 当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
三 申立ての趣旨及び理由
2 前項に規定する申立書には、更正の申立てに係る仮処分命令の本案の債務名義の正本を添付しなければならない。

(保全仮登記等の更正の嘱託の添付書面)

第四十七条 法第六十条第三項(法第六十一条において準用する場合を含む。)の規定による嘱託をする場合において、債権者から、保全仮登記の更正について登記上利害関係を有する第三者若しくはその更正について利害関係を有する抵当証券の所持人及び裏書人の承諾書又はこれらの者に対抗することができる裁判の謄本が提出されたときは、嘱託書にこれらの書面を添付しなければならない。

(処分禁止の登記等の抹消の嘱託の申立て)

第四十八条 法第五十三条第一項の仮処分(同条第二項の仮処分を除く。)により保全された登記請求権に係る登記がされた場合において、)不動産登記法(平成十六法律第百二十三号)第百十一条第三項の規定による処分禁止の登記の抹消がされないときは、債権者は、保全執行裁判所の裁判所書記官に対し、その処分禁止の登記の抹消の嘱託をするよう申し立てることができる。
2 前項の規定は、法第五十四条の仮処分について準用する。
(平一七最裁規六・一部改正)

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